「それぞれのシネマ~カンヌ国際映画祭60回記念製作映画~」(オムニバス)
2007年にカンヌ映画祭60回を記念して作られたオムニバス映画「それぞれのシネマ」見る。「映画館」をテーマに、著名な監督たちが3分間の短編で腕を競う。参加した監督陣はテオ・アンゲロプロス、オリヴィエ・アサイヤス、チェン・カイコー、マイケル・チミノ、ホウ・シャオシェン、アキ・カウリスマキ、クロード・ルルーシュ、ツァイ・ミンリャン、ヴィム・ヴェンダース、チャン・イーモウ、ウォン・カーウァイら多国籍の超豪華な面々。日本からは北野武が参加している。
3分間で起承転結のあるスッキリとした短編は意外に少なくて(もしやロマン・ポランスキー編くらいか)、中途半端な作品が多くて満腹感には至らずというのが正直な感想。とはいえ3分間にも関わらず監督の個性が伝わってくるのは事実で、映画ヲタとしては1作が終わる度にクレジットを見て「やっぱりこの人だったか」とニヤニヤするお楽しみはありだ。出てくる少年の顔つきを見ただけでガス・ヴァン・サント編だと分かったのはちょっと嫌だったが・・・。
テーマがテーマなんで仕方ないかもしれないが、毎度スクリーンを眺める観客の表情ばかり映し出されるのが辛かった。うっとりとスクリーンを眺める観客たちの表情は、「映画っていいものだ」と映画自身で自画自賛してるような感じがしてちょっと嫌だった。その一方、中にはマナーの悪い観客もいて、これには監督の意地悪さを感じたなあ。煙草吸ったり(北野武編ほか)、携帯カメラで撮影したり(アトム・エゴヤン編)、要らぬお喋りしたり(ラース・フォン・トリアー編)、トイレで自殺しようとしたり(デヴィッド・クローネンバーグ編)、チケット売り場に並んでから映画選び始めたり(ケン・ローチ編)・・・。個人的にはそんな自画自賛とも意地悪さとも無縁に、ひたすらマイペースで不穏な映像を繰り出すデヴィッド・リンチ編が好きだった。
ちなみに本作はフェデリコ・フェリーニに捧げられている。映画館にやって来た親子連れが結局映画見ないでサッカーに行っちゃうケン・ローチ編を見て天国のフェリーニは苦笑いしてることであろう。
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