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2009年1月

2009年1月25日 (日)

「シューテム・アップ」(マイケル・ディヴィス)

最近のアクション映画でも、と思い「シューテム・アップ」2007年)見る。全編銃撃戦に次ぐ銃撃戦の連続で、スタイリッシュなアクション演出は目に楽しい。撃つ・撃たれる、という単純なカットの切り替えを避け、殴る・撃つ・走る・滑る・一回転してまた撃つ、とか連続してアクションを見せていく手法は、ジョン・ウーを大いに勉強した様子が伺えて微笑ましい。が、見ていて少しもガツンとこないのはやっぱりスタイルだけに終わってるからだろう。香港時代のジョン・ウーは、登場人物の爆発しそうに昂ぶる感情を派手なアクションで表現していたと思う。ところが「シューテム・アップ」はまずガンアクションありきで、登場人物たちの感情などほとんど関係ない。いくら凝りに凝ったアクション演出を見せても、映画的な盛り上がりに乏しいのは当然だろう。だから、「シューテム・アップ」はアクション映画というよりも、ゲーセンのシューティングゲームみたいな感じ。そう割り切って見れば、パラシュートで降下しながら撃ち合いする場面とか楽しめるのかもしれないが、個人的にはアホらしくてちょっとついていけないなあ。

主人公は黒のロングコートに身を包んだ凄腕のガンマンで、演じるのはクライヴ・オーエン。いつもニンジンを咥えてる(という所だけが)特徴。「謎の男」ってのもいいけど、主人公なんだからもう少し何かあってもいいんではいかなあ。悪役はポール・ジアマッティ。主人公を助ける娼婦役はモニカ・ベルッチ。唖然とするくらいステレオタイプなキャスティングでお気の毒。

ヒロインが娼婦、主人公が指をへし折られる拷問を受ける、なんて所から思い出したのは、バート・レイノルズ監督・主演の「シャーキーズ・マシーン」(1981年)。「シューテム・アップ」なんかに比べると、随分情感たっぷりのいい映画だったように思えてきた。 

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「ライオネル・ファイニンガー展 光の絵画」(宮城県美術館)

Img_2  宮城県美術館にて「ライオネル・ファイニンガー展 光の絵画」鑑賞。ファイニンガーについては全く予備知識なし。駅に貼ってあった青色のポスターが気になったので見に行ってみた。

ライオネル・ファイニンガー(1871年~1956年)はドイツ系移民の子としてN..に生まれ、初期は新聞や雑誌に諷刺画や漫画を連載し、人気を博した。その後本格的に絵画を始め、キュビズム絵画に出会い、独自の世界を展開させていった。絵画の他にも玩具製作、版画、など多彩な作品を残している。

個人的にはキュビズム絵画にそれほど興味を惹かれないので、ファイニンガーの絵画世界を理解できたとは言い難い。が、物体の形状が光に沿って抽象化された作品群は、何がしかの記憶を呼び覚ますらしい。静まり返った美術館を、ファイニンガーの絵画を眺めながらゆっくりと歩き回っていると、幾度か激しい既視感に襲われた。

初期の新聞漫画(老人のような顔をした子供たちが、バスタブの船に乗って冒険旅行をする)や、子供の為に作ったという木彫りの玩具なども楽しかった。

同美術館は常設展示にクレー、カンディンスキーを初めとした、ドイツ近代美術のコレクションもあり楽しめる。中庭には「アリスの庭」と題し巨大猫やウサギの彫刻もある。久々の美術館だったので、大いに楽しんだ。

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2009年1月24日 (土)

「わんぱく戦争」(イヴ・ロベール)

 フランス映画の名作「わんぱく戦争」LA GUERRE DES BOUTONS1961年)見る。フランスの片田舎で、隣り合う村の子供たちがケンカに明け暮れる毎日を描く。子供たちが戦利品として相手のボタンを奪うので、原題は「ボタン戦争」。

 学校が終わると野山を駆け回り、空き地に秘密基地を作って、他校の子供たちとケンカして・・・などという最早ありえない子供像なんだろうなあと思いながら見ていた。俺らは(現在40代前半)かろうじてそんなことやってたけど。そもそも「わんぱく」なんて言葉、死語だよなあ。映画はノスタルジーを誘う部分もあるけど、そんなこととは別に映画的活力に溢れ、大笑いできる見せ場もたくさんあって(全裸で奇襲攻撃をしかける場面は爆笑)、今見ても楽しめたし、きっと10年先に見ても同じように楽しめることだろうと思う。

監督は本作や続編「わんぱく旋風」、「ぐうたらバンザイ!」などで知られるイヴ・ロベール。のんきで大らかな作風はとても楽しい。「大人は判ってくれない」田舎版みたいな苦々しい一面もあって面白かった。敵対するもの同士が再会し、一瞬で仲良くなるラストは大好きだ。

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2009年1月18日 (日)

「インファナル・アフェアⅢ 終極無間」(アンドリュー・ラウ、アラン・マック)

 三部作完結篇、「インファナル・アフェアⅢ 終極無間」INFERNALAFFAIRS Ⅲ(2003年)見る。一作目で描かれた潜入捜査官ヤン(トニー・レオン)殉職の前後と、警察内部に居残ったラウ(アンディ・ラウ)のその後を描く。

犯罪組織の手先としてヤンやウォン警部などを死に追いやった事を悔やみ、ラウは「善人になりたい」と思う。自分以外に警察内部に潜む犯罪組織の手先を見つけ出そうと奔走するラウ。その前に立ちはだかる保安部のエリート警官ヨン(レオン・ライ)。そこからドラマは二転三転。一作目、二作目の比較的ストレートな作風とは異なって、非常に込み入った展開を見せる。一体どういう決着を着けるのかとハラハラさせられた。結果、「無間地獄」という一作目からのテーマをきちんと貫き通した終わり方に納得。こりゃ暗過ぎると好き嫌いが分かれそうな感じだけど、俺は好きだったなあ。二作目にも登場した墓地に、ずらりと登場人物たちの墓が並ぶという終盤の場面は泣けた。泣けるといえば、ヨンともう一人の潜入捜査官「影」が、殉職したヤンを悼んで再会する場面。場所は一作目で登場したビルの屋上だ。ロングショットになると、まるで咽び泣いたかのような曇天だったのが印象に残った。

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2009年1月16日 (金)

「インファナル・アフェア 無間序曲」(アンドリュー・ラウ、アラン・マック)

 BSで「インファナル・アフェア」三部作を連続放映。今夜は2作目「インファナル・アフェア 無間序曲」 INFERNAL AFFAIRS Ⅱ。前作の前日談に当たり、警察と犯罪組織双方にスパイとして送り込まれた若い二人を描く。

警察学校に送り込まれたラウ(エディソン・チャン、後のアンディ・ラウ)、犯罪組織に潜入したヤン(ショーン・ユー、後のトニー・レオン)の若い二人が主人公なのだが、実際にはウォン警部(アンソニー・ウォン)と組織の小ボス・サム(エリック・ツァン)が主役と言ってもいい。アンソニー・ウォンとエリック・ツァン、二人のオヤジが思いっきりイイ顔を披露してくれるのですっかり嬉しくなった。脇にはフランシス・ンも出てるし。渋いオヤジの魅力を堪能できるのは犯罪映画ならでは醍醐味だ。

監督は前作に引き続きアンドリュー・ラウとアラン・マック。人間関係が肝なので前作を見ていないと解りにくいところがあり、単品として見るには苦しいけれど、これはこれで面白かった。アクションの見せ場よりもキャラクターの情感を優先した丁寧な演出のタッチはとても好ましい。1997年の中国返還に揺れる香港が物語の背景にあり、要所要所にドラマとして織り込まれているのも良かった。だだっ広い空間(前作ではビルの屋上、今回は終盤の墓地)に二人の男が対峙するという構図が実に様になってる。

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2009年1月12日 (月)

「御冗談でショ」(ノーマン・Z・マクロード)

明日からの仕事に備える為、マルクス兄弟で元気を出すことにした。久々に「御冗談でショ」 HORSE FETHERS 1932年)再見。この邦題がまたイイね。

Img_4 パラマウント時代のマルクス兄弟(グルーチョ、ゼッポ、ハーポ、チコ、の4人時代)はやっぱり抜群に面白い。矢継ぎ早に繰り出されるギャグのスピード(1932年の映画だよ!)は凄まじい。大学の学長に就任したグルーチョが就任演説で早速「何でも反対~」などと歌い踊り全てをコケにしまくるのがオープニング。後はもぐり酒場での珍問答から、フットボール試合のクライマックスまで、上映時間67分は正にあっという間。

ちなみに、ウディ・アレンが自作で引用した「世界中がアイ・ラブ・ユー」の原曲はこの映画から。兄弟それぞれのバージョンで聴けるのも楽しい。

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2009年1月11日 (日)

「インファナル・アフェア」(アンドリュー・ラウ、アラン・マック)

TVで「インファナル・アフェア」 無間道 INFERNAL AFFAIRS (2002)見る。封切時に劇場で観て以来久々に再見したが、いやあ、やっぱりいい映画であった。

 潜入捜査官として犯罪組織に潜り込んだ男(トニー・レオン)と、警官として警察内部に入り込んだ犯罪組織の男(アンディ・ラウ)。本当の自分を隠し危険の中で暮らす2人の男が、やがて対決の時を迎える・・・というサスペンス映画。

これまで香港映画に対して抱いていたイメージは、「勢いはあるが泥臭い」というのものであった。香港時代のジョン・ウー作品など大好きだけど、その過剰なまでの暑苦しさは洗練とは程遠いものである。劇場で「インファナル・アフェア」を見た時は、「ついに香港ノワールもここまできたか」と深く感動を覚えた。お話の面白さでぐいぐい引っ張り、演出はスマート、かつ従来の香港映画らしい熱さも忘れていない。そして何よりここにはスターの輝きがある。トニー・レオンとアンディ・ラウ、香港を代表する2大スターの何ともいえない色気は素晴らしい。ハリウッド製アクションとは一味も二味も違う結末には男泣き必至。個人的に「潜入捜査官もの」に弱いので、トニー・レオンを待ち受ける運命には胸を打たれた。

公開から数年後、本作はハリウッドでリメイクされた。マーティン・スコセッシ監督「ディパーテッド」だ。あろうことかマット・デイモンとレオナルド・デカプリオという童顔コンビが主演なもんで、主人公の魅力はオリジナル版のトニー・レオンとアンディ・ラウには遠く及ばずといったところであった。それはさておき、映画としてはスコセッシお得意のドライなタッチの犯罪映画として充分に楽しめた。今回改めてオリジナル版を見直してみると、こうも違うかと驚かされる。お話は全く同じなのに、映画の手触りが全く違う。そればかりか、テーマそのものが全然違うのだ。オリジナル版は原題「無間道」が表すように、「本当の自分を偽って生き延びるのもまた地獄なのだ」というのがテーマ。一方スコセッシ版は、「ディパーテッド」(死者たち)というタイトルそのままに、「裏切り者のネズミには死あるのみ」とばかり死屍累々の非情な世界が展開していた。スコセッシ版もあれはあれで面白かったけど、やはり映画としての艶はオリジナル版の方が上だと思うなあ。

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「こねこ」 (イワン・ポポフ)

TVでロシア映画「こねこ」THE KITTEN (1996)見る。「こねこ」と言えば、今から10年くらい前に東京に住んでた頃、行きつけの飲み屋のおねーさんが最近見た映画と言うことで挙げてたっけ。(ちなみに「こねこ」の他に挙がったタイトルはトニー・ガトリフの「モンド」と井口昇の「クルシメさん」であった。嗚呼中央線のサブカル女子よ!)

「こねこ」は、主人とはぐれた子猫チグラーシャが冬のロシアの町を彷徨い、猫好きの人々や沢山の猫たちと交流しながら、やがてご主人様の元に戻るまでを描くほのぼの系。84分という上映時間も短くて丁度良い。他愛も無いと言っちゃそれまでだけど、まあお正月らしくていいかもだ。全編様々なバリエーションの猫たちが登場し、一緒に見ていた妻(←猫好き)は萌え狂っていた。

さてこの映画で最も印象に残るのは件の子猫チグラーシャではない。子猫のご主人様である音楽家一家でもない。脇役の、古アパートの屋根裏で沢山の猫と暮らす中年男だ。この男は街頭で新聞を売ったり、掃除を請け負ったり、駅で猫と芸をしたり、半端仕事で食いつないでいるらしい。どうやら猫とサーカスで芸をするのが夢のようだ。子猫のご主人様である金持ちの音楽家一家と正反対の惨めったらしいその生活ぶり。髭面にどことなくマイケル・J・ポラードっぽい曖昧な表情を浮かべた男は、猫たちに囲まれている時が一番嬉しそうで、猫たちも彼と居るのが好きらしい。ほのぼの系映画らしからぬ暴力沙汰に巻き込まれて病院送りになるが、映画のラストでは無事猫たちと再会。ホっとしたよ。

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2009年1月10日 (土)

「ウィズ」(シドニー・ルメット)

 モータウン製作によるオール黒人キャストの「オズの魔法使い」、「ウィズ」THE WIZ (1978年)見る。音楽はチャーリー・スモールズ、クインシー・ジョーンズ、特殊メイクはスタン・ウィンストン。監督は「十二人の怒れる男」「狼たち午後」等で知られる社会派シドニー・ルメット。製作はロブ・コーエン、脚色はジョエル・シュマッチャーだって。

 大筋はオリジナルと同じなんだが、舞台はニューヨークに設定され、何とドロシーは大人の女性に変更されている。愛犬トトだけが友達という奥手の女性ドロシーを演じるのはダイアナ・ロス。本職の歌と踊りはともかく、お芝居の部分は常に怯え顔で魅力が薄いのが辛かった。時折すっとんきょうな悲鳴を上げて走り回ったりして、大歌手と知らないで見ると「何だ?この女は」という感じであろう。当時ダイアナ・ロスが何歳なのかは解らないけど(30代だろうな)、やはりミスキャストだったのではないかと思う。オリジナル版同様にドロシーと同行するのは脳みそのないカカシ、臆病なライオン、ハートのないブリキ人形。カカシ演じるのは若き日のマイケル・ジャクソンで、さすがに歌と踊りのキレはいいし、妙なメイクで顔もよく見えないながら一番溌剌としていた。オズを演じるのはコメディアンのリチャード・プライアー。なんだけど、全く影が薄い。

 映画はニューヨークの実景と特撮を交えて異世界を演出しており、キッチュな映像はところどころ楽しめる。が、大人向けなのかファミリー向けなのか判然としない中途半端な出来で、ちぐはぐな印象は否めなかった。主人公たちが地下鉄で魔物に襲われる場面なんて笑っていいんだか何だか。これはやはり監督の人選ミスなのではないかと思う。いくらニューヨークが舞台だからってシドニー・ルメットにミュージカルはお門違いだろう。モータウンImg_4 製作だけに音楽ファンにはお楽しみはたくさんあると思うが、それだけに歌と踊りの躍動感を捉えきれていないのが惜しまれる。ちなみに「オーバー・ザ・レインボー」は流れません。

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2009年1月 5日 (月)

「キンスキー、我が最愛の敵」(ヴェルナー・ヘルツォーク)

2009年の1本目は何にしようかと思案して、「キンスキー、我が最愛の敵」MEIN LIEBSTER FEIND(1999年)で気合入れる事にした。キンスキーとはすなわち、「アギーレ・神の怒り」「フィッツカラルド」等で知られる怪優にして、美女ナスターシャ・キンスキーの父親、クラウス・キンスキー。彼を多くの自作で主演に起用したヴェルナー・ヘルツォーク監督が懐述する、「最愛の敵」キンスキーとの闘いの日々。封切時に劇場で見て以来の再見となった。

クラウス・キンスキーといえば、そのファースト・インパクトは「夕陽のガンマン」。悪党一味の下っ端役で、主人公のクリント・イーストウッドにからかわれて、怒りのあまり頬をピクピクと痙攣させる演技は強く印象に残った。鬼瓦みたいなおっかない顔だけど本当はいい人、というパターン(アーネスト・ボーグナインとか)もあろうが、キンスキーはどうやら見たまんまの人だったようで、「我が最愛の敵」で描かれる奇行の数々には唖然とさせられる。「下宿屋の廊下を全力疾走し、ドアを突き破った」とか「下宿屋のバスルームに篭城し48時間叫び続けた」とか「エキストラの態度が気に食わないと暴れだし、剣で斬りつけて重傷を負わせた」とか「食事が気に入らないとプロデューサーを延々罵倒した」等、傍若無人な振る舞いは凄まじい。キンスキーのあまりの無軌道ぶりに、撮Img_6影に参加していたインディオたちがヘルツォークに暗殺を持ち掛けたというエピソードには笑った。

劇場で見た時には、そんなキンスキーの奇行の数々にすっかり目を奪われてしまった。が、今回見直して、狂気を感じたのはキンスキーではなくむしろ監督ヘルツォークの方であった。狂気が言い過ぎならば、よく言えば猛獣使いのようなとてつもない大胆さ、悪く言うならとんでもない厚かましさ。キンスキーに剣で殴られ頭部に25年後も残る傷を負ったエキストラと語る際、ヘルツォークはにこやかな笑顔で話している。(エキストラにとっては不快な思い出のはずなのに!)撮影中の事故でカメラマンが手に裂傷を負ったエピソードを語る際にも楽しそうな表情を浮かべていたなあ。猛獣キンスキーを縦横に操り、数多のトラブルを 潜り抜けて映画を完成させてきたのだというヘルツォークの「オレ自慢」ぶりがいささか鬱陶しくもあり、彼の映画の押し付けがましさはやはり自身のパーソナリティーに負うところが大きいのだなと妙に納得させられた。

「我が最愛の敵」を見終える頃には、キンスキーを突き動かすのは狂気ではなく、繊細な感性であったと思えてくるのが面白い。クラウディア・カルディナーレ、エヴァ・マッテスら共演した女優が語るキンスキーの素顔はまるで少年のようだ。己の抱えた恐怖、臆病さに打ち勝つ為に必至で虚勢を張る大きなコドモ、というのがキンスキーの正体だったような気がする。映画のラストに、キンスキーが蝶と戯れる比較的長めのショットがある。撮影の合間に撮られたと思しきその美しいショットは、キンスキーの繊細な一面をよく表していると思った。

それにしても、黒澤と三船、小津と笠、シーゲルとイーストウッド、等々名コンビと称される監督と主演俳優の組み合わせは数あれど、ヘルツォークとキンスキーのような関係は珍しい。互いに殺意を抱くほど憎み合い、その闘いの記 録がそのまま映画になってるような濃おおおおおい関係だもんなあ。

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2009年1月 1日 (木)

謹賀新年

2008年のベスト  

 見た映画の記録をちまちま付け出したのは学生の頃。映画オタクの例に漏れず、年末になると劇場で見たベスト10なぞ書き綴ったりしている。2008年は劇場鑑賞が激減してしまいとても10本選べる状態ではないので、とりあえずベスト3。

  「イントゥ・ザ・ワイルド」(ショーン・ペン)

  「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」(ポール・トーマス・アンダーソン)

  「ダージリン急行」(ウェス・アンダーソン)  

 

 ちなみに20年前、1988年のベスト10は以下の通り。大学生3年生で、東京都北区に住んでました。

  「トラブル・イン・マインド」(アラン・ルドルフ)

  「メイトワン1920」(ジョン・セイルズ)

  「シド・アンド・ナンシー」(アレックス・コックス)

  「赤ちゃん泥棒」(ジョエル・コーエン)

  「ベルリン/天使の詩」(ヴィム・ヴェンダース)

  「フルメタルジャケット」(スタンリー・キューブリック)

  「フランティック」(ロマン・ポランスキー)

  「カラーズ/天使が消えた街」(デニス・ホッパー)

  「バーフライ」(バーベット・シュローダー)

  「お掃除日和」(郡司昇)

「お掃除日和」は当時関わった8mmの自主映画。想い出の作品です。もう一回見たいなあ。

 

 10年前、1998年のベスト10は以下の通り。社会人9年目、東京都杉並区に住んでました。

  「ブギーナイツ」(ポール・トーマス・アンダーソン)

  「ビッグ・リボウスキ」(ジョエル・コーエン)

  「ザ・ウィナー」(アレックス・コックス)

  「スターシップ・トゥルーパーズ」(ポール・バーホーヴェン)

  「地球は女で回ってる」(ウディ・アレン)

  「イヤー・オブ・ザ・ホース」(ジム・ジャームッシュ)

  「傷だらけの天使/愚か者」(阪本順治)

  「百年の絶唱」(井土紀州)

  「フェイス/オフ」(ジョン・ウー)

  「アウト・オブ・サイト」(スティーヴン・ソダーバーグ)

「ブギーナイツ」はオールタイム・ベスト10にもランクイン確実のマイ・フェイバリット。石井輝男の「徳川いれずみ師・責め地獄」を見て度肝抜かれたのもこの年でした。  

 

 今年も楽しい映画に巡り会えますように。

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