アニメ・コミック

2009年10月23日 (金)

「天然コケッコー」(くらもちふさこ)

 妻に薦められて、くらもちふさこ「天然コケッコー」全14巻を一気読み。

 裏表紙に「田舎のほのぼの生活漫画」みたいなことが書いてあったけど、全然そんな風には見えなかったよ。登場人物たちの気まずい失敗、戸惑い、友人間の力関係、地域や家庭との軋轢、そういったヒリヒリするような感覚がとてもリアルに伝わってきた。自分が田舎(あそこまでド田舎ではないけれど)出身で、登場人物たちの置かれた状況とか、人物像には多かれ少なかれ心当たりがある、というのもあるかもしれない。読んでる間中、いたたまれないような気持に苛まれて、とても「ほのぼの」した気持なんかにはなれないのであった。

 というのは別に面白くなかった、ということではないので念のため。キャラクター把握の正確さと繊細な心理描写はただごとではないなあと思ったことであるよ。寡聞にして少女漫画には疎いのだけれど、まったくもって侮れないなあと感心した。ノスタルジックなところが全くないのも良かった。先日見た映画版では、残念ながら原作の良さをこれっぽっちも表現できてなかったと思う。

 全14巻の、最後の最後にはちょっとヒネった仕掛けがしてあって驚く。こんな落とし方するってのは、作者はずいぶんクールな人なんだろうなあと思う。

| | コメント (3) | トラックバック (0)

2009年4月19日 (日)

「真夏の夜の夢」(イジー・トルンカ)

 チェコ・アニメの巨匠イジー・トルンカの「真夏の夜の夢」SEN NOCI SVATOJANSKE(1959年)見る。シェイクスピアの「真夏の夜の夢」を人形アニメでファンタジックに映像化。特に、恋人たち、素人劇団の面々、妖精たちがそれぞれの想いを胸に彷徨う夜の森の場面は素晴らしい。時折ひょっこり顔を出す動物たちも愛らしい。深いブルーを基調とした色彩も美しく、これがトルンカの真骨頂かとしばし見惚れた。

Img_0048

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009年4月 7日 (火)

「おじいさんの物々交換」(イジー・トルンカ)

 チェコアニメの巨匠イジー・トルンカの短編「おじいさんの物々交換」(1954年)見る。善行を施して金を手に入れたおじいさん。帰り道に出会う人たちと物々交換を繰り返す内に、全て失ってしまった。がっかりして帰宅すると、おばあさんの愛情が待っていてめでたしめでたし・・・。今回は人形アニメではなくて、絵本を映したような動きの無い映像。NHK教育でやってそうな感じでそれほどインパクト無かったなあ。

 

 昨日書いたチェコの映画ポスターの続き。下は黒澤の「羅生門」。デヴィッド・リンチのドローイングみたい。

Img_0009_new

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009年3月17日 (火)

「チェコの四季」(イジー・トルンカ)

 イジー・トルンカの長編第一作「チェコの四季」(1947年)見る。チェコの伝統行事や四季折々の風物詩を題材にした人形アニメで、「謝肉祭」「春」「聖プロコップ伝説」「巡礼」「聖名祝日」「ベツレヘム」の6つの短編から生るオムニバス構成となっている。

 台詞は無くて、子供たちの歌声に合わせて人形たちがパントマイム(?)を繰り広げる。長編第一作だけあってまだ人形の動きや撮り方は素朴で荒々しい。可愛いっちゃあ可愛いけれど、お話は妙な具合で、歌詞の内容もかなりヘン(チェコではお馴染みの内容なのかもしれないが)。普段見慣れた劇映画とはテンポもかなり違っており、まさしく地方の珍Img_new_3 しいお祭りに参加したような感覚であった。

 実のところ、見ている間中、何度も眠気に襲われた。映画がつまらなくて眠くなったという訳ではなくて、あの子供の歌声と妙にぎくしゃくした映像のリズムのせいではないかと思う。不可思議な催眠効果があるのだ。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009年3月16日 (月)

「おじいさんの砂糖大根」(イジー・トルンカ)

 今までノーチェックだったチェコアニメの巨匠イジー・トルンカに挑戦してみた。まずはデビュー作「おじいさんの砂糖大根」(1945年)。

 トルンカといえば人形アニメというイメージであるが、これは水彩画のようなタッチのセルアニメ。庭の畑で大根を大事に育てているおじいさんと、その家族、動物たちの姿を描く10分の短編。となればいわゆる「ほのぼの系」かと思うが、どこかこちらの予想と微妙に違う感じであった。おじいさんが粗暴であったり、巨大に育った大根を皆で引き抜いたら、勢いあまって丘を転がり落ち、おじいさんや動物たちが大根と一体化して空に舞い上がるラストシーンが意味不明であったり。この感覚はディズニーアニメやジャパニメーションとは全く異質なもので、デビュー作にしてトルンカの強い個性が感じられるものであった。まあユルいといえばユルいんだけれども。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009年3月10日 (火)

「20世紀少年」(浦沢直樹)

 この一週間くらいかけて浦沢直樹の人気コミック「20世紀少年」(全22巻)、「21世紀少年」(上下巻)をまとめ読み。個人的な感想としては、あれこれ盛り込み過ぎだよこれ。SF的な設定や、社会批判的な要素もあるけれど、結局のところ一番やりたかったのは友情話と音楽の話なのだろうと思う。ならば世界を滅亡させる必要なんかないし、人が死に過ぎだろうというのが正直なところ。

 「20世紀少年」が下敷きにしているのは明らかにキングの長編小説「IT」だ。少年時代の仲良しグループが大人になってから再結集して悪と戦うというストーリー、皆が少年時代を思い出せないという部分までよく似ている。血沸き肉踊る「IT」に比べてどうも感動が薄いのは、登場人物の描き分けや少年時代の描写がかなり紋切り型で薄っぺらいからだと思う。

 何で今さらこれを読もうと思ったかと言えば、映画版を見る為の予習である。以前から大嫌いな堤幸彦の映画を何ゆえ見なければならないのか。しかも3本も。それは、ひとえに白井良明氏(ムーンライダーズのギタリスト)が音楽監督を務めているからである。製作費60億とか言われている超大作の音楽を、ムーンライダーズのメンバーが担当する!この衝撃。原作を読んで分かった通り、音楽の見せ場は全編に存在する。クライマックスに至っては・・・である。そこにどんな楽曲が提供されるのか、表題曲はどのように使われているのか、楽しみだ。何せこの漫画の主人公の名前は「遠藤ケンジ」というのである。原作者だって生半可な音楽ファンではあるまい。その成果はいかに。追って報告したい。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009年3月 9日 (月)

「秒速5センチメートル」(新海誠)

 BSで放映されてたアニメ「秒速5センチメートル」(2007年)。見るともなしに最後まで見てしまった。小学校の卒業式に別れ別れになった彼女をずっと想い続ける男を描く3話のオムニバス仕立て。監督は自主アニメから頭角を現した人らしい。成る程、情感たっぷりな風景描写など実に見事であった。いかにもアニメっぽい絵柄の好き嫌いはともかくとして、映像には見応えがあったと思う。

 いかんせん妙に自己陶酔的なモノローグが延々と流れるのが気恥ずかしくて、映画としては40男の鑑賞に堪えうるものではなかった。これだけ映像で語れるならば、いっそサイレントに近いくらい台詞を絞り込んでもいいんじゃないかと思ったことであるよ。最後は山崎まさよしのPVみたいになっちゃうし。まあ、所詮「雰囲気モノ」ですね。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年11月24日 (月)

「ファインディング・ニモ」(アンドリュー・スタントン、リー・アンクリッチ)

 今夜はディズニー/ピクサーアニメ「ファインディング・ニモ」2003年)観る。っていうか最近アニメばっかり見てるな。ダイバーにさらわれた我が子ニモを探して旅するカクレクマノミの父親の大冒険を描く、ピクサーのフルCGアニメ。テーマは明快、見せ場もふんだんに盛り込まれてる。まあつまらなくはないんだけど、何かこうピンとこないのは絵柄のせいか、ギャグがいまいちなせいか。他のピクサーアニメ「Mr.インクレディブル」「トイ・ストーリー」の面白さには及ばず。正直言って40オヤジには画面がチカチカして見辛いことこの上なかった。そろそろ「良質の」アニメにも食傷気味なんで、早く血飛沫くホラーかアクション映画見たくなってきた。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年11月21日 (金)

「パプリカ」(今敏)

今敏監督「パプリカ」2006)見る。前作「東京ゴッドファーザーズ」が好印象だったので、期待して見始めた。原作は筒井康隆。開発途中のサイコセラピー装置を悪用して他人の夢に侵入する正体不明の敵に立ち向かう、ヒロイン「パプリカ」の活躍描く。面白かったけど、いまいち小粒というか未消化な印象だったなあ。メインキャラクターに一人に元8mm映画野郎が出て来たのはちょっと痛かった。

ところで、今監督の前作「東京ゴッドファーザーズ」の音楽は鈴木慶一(サントラにはムーンライダーズが全面参加)、今回の音楽は平沢進。この辺は監督の好みなんだろうな。ちょい懐かしい感じのテクノサウンドが大音量で鳴り響くのはなかなかキモチ良かった。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年11月16日 (日)

「レミーのおいしいレストラン」(ブラッド・バード)

 ピクサーアニメ「レミーのおいしいレストラン」2007年)見る。監督は「Mr.インクレディブル」「アイアンジャイアント」のブラッド・バードだけにハズレはあるまいと思ってはいたが、いやはやこれは問題作であろう。

 舞台はパリの一流レストラン。シェフを夢見るネズミのレミーは、料理の出来ない見習いシェフのリングイニを操って大騒動を巻き起こす。

 お話は先が読めなくて面白いし、アニメならではの楽しい動きの見せ場は盛りだくさん。辛口料理評論家の存在、RATATOUILLE という原題に託されたテーマもなかなか感動的だ。が、正直言ってこれは綱渡りみたいな映画だと思う。人によっては(っていうかほとんどの人は)、「不衛生だ」と、切って捨てそうな気がするんだよなあ。かく言う自分も厨房にネズミ軍団が押し寄せる場面は退きそうになったもんなあ。面白かったんだけど。

| | コメント (0) | トラックバック (0)