「空気人形」(是枝裕和)
是枝裕和監督「空気人形」見る。仙台チネ・ラヴィータにて。
ファミレスで働く冴えない中年男(板尾創路)のダッチワイフが「心」を持って自由に動き始める・・・などというお話を、一般の観客にも届くようにとの配慮だろうか、丁寧に丁寧に描いている。その丁寧さがいささか鬱陶しいというか、クドイような気がしたなあ。
特に周囲の人間たちの生活を点描していく部分など、「テーマは現代人の孤独なのです」といわんばかりの絵に描いたようなステレオタイプな演出で、どうにも退屈に感じてしまった。
粗筋を読んで「代用品」である人形が動き出して、本物の彼女になってくれたら・・・というモテない男の願望映画なのかと思いきや、映画は心を持った人形の側から描かれている。生まれたばかりの子供のような視点で町を歩き、人々と接し、世界を発見していく空気人形。東京下町のロケーションはいい雰囲気で、性行為(と後始末)を逃げず描いているのも良かった。粗筋から想像されるような、童貞オタク臭いファンタジーには堕していない。空気を吹き込む、というのを大きな見せ場として描いているのも面白かった。枝葉はすべて取り払って、空気人形を巡る三角関係の話に絞り込んでもよかったんじゃないかと思う。
映画の最大の魅力は、ひとえに人形を演じるペ・ドゥナに尽きる。彼女は小動物系のルックスに反し、実はかなり根性の据わった演技派で、これまでも「復讐者に憐みを」や「グエムル」など汚れを厭わない体当たりの演技を披露してきた。今回は「心」を持ったダッチワイフという役柄につき、当然裸もありの難役なのだが、持ち前の愛くるしい存在感で完璧にこなしている。素晴らしい。
「人形が心を持つ」お話というところで、金子修介のロマンポルノ「いたずらロリータ 後ろからバージン」、またはディズニーの「ピノキオ」などと見比べてみるのも一興かと思う。
・・・何か我ながら遠慮気味な文章になってしまった気がするなあ。何故だろう。ううむ。
| 固定リンク | コメント (3) | トラックバック (0)




最近のコメント