ロバート・アルトマンは大好きな監督なのだが、恥ずかしながら代表作「ナッシュビル」を見ていないのが辛かった。何やらオトナの事情があるのか「ナッシュビル」は(国内では)未だソフト化されていない。何しろアルトマンと言えば「ナッシュビル」である。どの映画本にもアルトマンの代表作と言えば「ナッシュビル」な訳で、ハリウッド、オフ・ハリウッドをまたにかけ、60年代から現在に至るまで「M☆A☆S☆H」「ロング・グッドバイ」「ギャンブラー」「三人の女」「ゴスフォード・パーク」等、名作数多いアルトマンであるが、やはり「ナッシュビル」を見ないままにアルトマンを語るってのは抵抗があった。
アルトマンが亡くなった昨年後半、衛星放送で特集が組まれ、ラインナップには「ナッシュビル」も!これは嬉しかった。念願かなってようやく鑑賞と相成った。(後日知ったのであるが、昨年のぴあフィルムフェスティバルではアルトマン特集が組まれ、何と「ナッシュビル」他の代表作が劇場にかかったという。ああ、東京に住んでいたら毎日通ったのに、とこの時ばかりは心底悔やんだ)
という訳で「ナッシュビル」(1975年)。昨日見た「ハリー・ポッター」、あれも映画ならこれも映画、果たして本当に同じジャンルに括っていいものかと思うくらいに肌触りが違う。予想以上のダラダラダラダラしたアルトマン・タッチ全開。しかし面白い。C&Wのメッカとして有名なナッシュビルで、それぞれの事情を抱えて右往左往する登場人物たち。巧みに使われるC&W。2時間半(159分)の長尺であったが、ダラダラした調子のまま最後まで見せ切ってしまうのには驚いた。
「ナッシュビル」はアルトマンの代名詞とも言うべき群像劇で、いくつものエピソードが同時進行で語られていくスタイル(マルチ・プロットと言うらしい)。主なキャストはヘンリー・ギブソン、リリー・トムリン、シェリー・デュヴァル、スコット・グレン、カレン・ブラック、ネッド・ビーティ、ジェフ・ゴールドブラム、クリスティナ・レインズ、ジェラルディン・チャップリン、キース・キャラダインら。主要キャストの他に、パーティの場面でエリオット・グールドらが本人として出演するなどドラマとドキュメンタリーの中間のような見せ方は後年の「ザ・プレイヤー」などと同じだ。
クライマックスはナッシュビルで行なわれる大統領候補のキャンペーン大会。そこで複数のプロットが1点に集約するのかと思いきや、そこはアルトマン、そんな納まりのよい映画などになるはずもなく、混沌としたままで放り出す。その絶妙の脱力ぶりには唖然とさせられた。混沌とした結末からくっきりと浮かび上がってくるのはやはり「アメリカ」であった。アルトマン映画としては、90年代以降の作品には無い熱っぽさがある。そこがまた素晴らしく胸を打つ。やっぱり70年代の映画はいいなあ。
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