ロバート・アルトマン

2008年1月28日 (月)

「パーフェクト・カップル/おかしな大恋愛」(ロバート・アルトマン)

アルトマンの日本未公開「パーフェクト・カップル/おかしな大恋愛」(1979)見る。

インタビューを読んだら、アルトマン本人はオーソドックスでシンプルな恋愛映画をやりたかったようだが・・・。これがまた居心地の悪いヘンな映画に仕上がっている。ポール・ドゥーリィ、マルタ・ヘフリン、ティトス・ヴァンティス、デミトラ・アーリスら主要キャストは馴染みのない人ばかり。主人公はヴィンセント・プライスを情けなくしたような顔つきで、ヒロインはギョロ目の痩せぎす、とどう見ても魅力的とは言い難い。使われる音楽やファッションには珍しく時代臭がプンプンしている。これはやっぱり失敗作だろう。ここにもまたヘンリー・ギブソンが・・・。

 1月はアルトマンを続けて見てきたが、濃い作品群はとても1ヶ月では見終えられなかった。しばし間をおいて特集第2弾をやろうと思う。そして、求むソフト化「BIRD★SHT」。

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2008年1月27日 (日)

「ウエディング」(ロバート・アルトマン)

 アルトマンの「ウエディング」(1978)見る。

 成金の大邸宅で行なわれる結婚式に集まった人々のドタバタを描く、これまたお得意の群像劇。キャロル・バーネット、ミア・ファロー、ヴィットリオ・ガスマン、リリアン・ギッシュ、ジュラルディン・チャップリン、デニス・クリストファーらにぎにぎしい顔ぶれ。ユーモラスと呼ぶには人間スケッチがキツすぎて見てて辛いところも多かった。ためにためたラストには不思議な開放感があって良い。アブない感じのミア・ファローがヌードを見せる場面には驚いた。何だか見ちゃいけないもの見ちゃったような感じ。

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2008年1月26日 (土)

「ポパイ」(ロバート・アルトマン)

アルトマンの「ポパイ」(1980)再見。本作はディズニー製作の超メジャー作品なのに、いまだにちゃんとDVDソフトが出ていないってのは何かオトナの事情があるのだろうな。

「ポパイ」は大コケしてアルトマンがハリウッドを追われる原因となったいわくつきの大作。今でこそコミック原作の大作など当たり前のように作られているが、ちょっと早過ぎたと言うか、アルトマンの作風が天真爛漫さを欠いているというか。漫画まんまの誇張した動きや演技は面白いと思うけど、いびつ過ぎて皆が期待したものとは違ってたのかもしれない。ポパイ(ロビン・ウィリアムス)、オリーブ(シュリー・デュバル)、ブルート(ポール・スミス)のそっくりぶりも悪くないとは思うのだが・・・。

音楽はハリー・ニルソンとヴァン・ダイク・パークス。オールドハリウッド的なミュージカル場面は曲も良いし楽しかった。サントラ欲しいぞ。ヴァン・ダイク・パークスはピアノ弾きの役でチョイ役出演もあり。シュリー・デュバルがクネクネと歌う曲はP・T・アンダーソンが「パンチドランク・ラブ」で使ってた曲だな。

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2008年1月23日 (水)

「コンバット!/1人だけ帰った(TVM)」(ロバート・アルトマン)

最寄の図書館の視聴覚コーナーを物色していたらアルトマン演出のエピソードを含む「コンバット!」を発見。視聴ブースに入って1話だけ見てみた。

「コンバット!」は第二次世界大戦を舞台にしたアメリカの人気TVドラマ。シリーズ初期にアルトマンは製作・監督として深く関わっていたようだ。本作は脚本も担当した1本で、本人も思い入れのある作品だという。斥候に派遣された小隊でサンダース軍曹(ヴィク・モロー)と古参兵が対立、やがてサンダース1人だけが帰還するまでを描いた暗いお話で、後味も悪い。TV局サイドからは評判が悪く、これ以降アルトマンはシリーズを離れたという。戦場でのモラル(サミュエル・フラー的な)を描いた極めてシリアスな内容で、シンプルなタッチの演出が力強い。

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2008年1月20日 (日)

「M☆A☆S☆H」(ロバート・アルトマン)

アルトマンの「M☆A☆S☆H」(1970)見る。これまた久々の再見。

50年代~60年代TVディレクターとして活躍していたアルトマンの名を、映画監督として一躍有名にしたのが本作。朝鮮戦争を舞台にしたブラック・コメディ。久しぶりに見直してみたら、これまた前に見た時(大学生時代)とは随分印象が違った。「体制を撹乱する太々しい二人組の軍医の話」というイメージだったのだが、太々しいどころか、主人公たちの悪ふざけの真剣さは涙ぐましいほど。勝ち目のない相手に向けて必死で反抗してるような感じなのだ。戦場で正気を保つにはこれしかないという感じで延々不真面目な振る舞いをし続けてるというか。よく見ればドナルド・サザーランドとエリオット・グールドの言動は一見乱暴だが、医者として治療には至極真っ当に取り組んでるではないか。

出演者はエリオット・グールド、ドナルド・サザーランド、トム・スケリット、ロバート・デュヴァル、サリー・ケラーマンら濃い顔ぶれ。彼らの掛け合いを見ているだけで十分に面白い。俳優たちが一斉に喋りだす演出も面白い。脇役では、極めてニューシネマ的な俳優(その後姿を見かけないという意味で)バッド・コートが出ていた。

テーマ曲(“自殺のすすめ”)が最高。

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2008年1月19日 (土)

「ショート・カッツ」(ロバート・アルトマン)

アルトマンの「ショート・カッツ」(1994)見る。封切当時劇場で観て以来久々の再見。

「ザ・プレイヤー」でハリウッドに復活したアルトマンが次に手がけたのは、レイモンド・カーヴァーの短編小説をモザイクのように組み合わせた3時間超(189分)の長編。お得意のマルチ・プロットを駆使した群像劇。改めて見直してみると、随分薄味だなあと思った。以前見た時より印象が薄い。多くの登場人物をさばく手つきはさすがにウマいとは思ったけど。やっぱり「ナッシュビル」を見てしまった後ではなあ。混沌とした熱っぽさみたいなものが感じられた「ナッシュビル」に比べると、何か醒め切ったような感じがしてあまり好きになれない。その辺は70年代と90年代の違いなのかもしれないが・・・。

「ショート・カッツ」におけるアルトマンの独自性は、カーヴァーの小説の最後の一文、かろうじて救いや余韻を感じさせる一文を意図的に映像化しなかった事だろう。だから、粗筋は確かにカーヴァーの短編小説そのままなのに、印象は全く違う。ひたすら嫌な話の連続になっているのだった。

音楽プロデュースはハル・ウィルナー。出演者は今回も豪華で、アンディ・マクダウェル、ブルース・デイヴィソン、ジャック・レモン、ジュリアン・ムーア、マシュー・モディーン、ジェニファー・ジェイソン・リー、クリス・ペン、リリ・テイラー、ロバート・ダウニー・Jr、マデリーン・ストー、ティム・ロビンス、リリー・トムリン、トム・ウェイツら。

どうでもいい話ではあるが、映画館でヘア解禁を見たのは確か本作が初めて。ヌードモデルを勤めるジュリアン・ムーアのヘアと、立ちションするヒューイ・ルイスのイチモツにギョッとしたのであった。

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2008年1月12日 (土)

「ザ・プレイヤー」(ロバート・アルトマン)

アルトマンの「ザ・プレイヤー」1992)を久々に再見。

80年代のアルトマンは「ポパイ」の失敗以降ハリウッドから退いて、イギリスなどで舞台劇の映画化など小品ばかりを手がけていた。90年代に入り、ハリウッドに華々しく復帰したのが「ザ・プレイヤー」だった。伝説の巨匠の復帰作に相応しく出演者は超豪華で、ティム・ロビンス、グレタ・スカッキ、フレッド・ウォード、ウーピー・ゴールドバーグ、ピーター・ギャラガー、ブライオン・ジェームズ、ヴィンセント・ドノフリオら。それに加え、ジュリア・ロバーツ、ブルース・ウィリス、ピーター・フォークらがカメオ出演。バート・レイノルズ、ジョン・キューザック、ジャック・レモン、ハリー・ベラフォンテ、ジェフ・ゴールドブラム、マルコム・マクダウェルらが本人役で出演。(マルコムは主人公にイチャモンつける役で印象に残る)  

ハリウッドの内幕を皮肉たっぷりに描いたブラック・コメディ・・・のはずなんだが、見直してみたら随分印象が違っている。「ハリウッドへの皮肉」と言うよりも、「ハリウッドの反逆者アルトマンが業界ネタでハリウッドへ帰還」した事を自らパロディにしているような感じというか。映画自体に奇妙な薄っぺらさを感じた。冒頭でオーソン・ウェルズの「黒い罠」に言及しながら延々長廻ししたり、いわゆる「ハリウッドエンディング」を再現して見せるラストの試写会のシーンなど、ブラックユーモアと呼ぶにはあからさま過ぎるというか。個々の描写も妙に薄っぺらな感じを覚えるんだよなあ。もちろん、こんな娯楽映画なんてやろうと思えば当たり前に撮れちゃうアルトマンの力量はちゃんと伝わってくる。70年代の濃さは無いが、これはこれで充分に面白い。

ちなみに、公開当時「ミュージックマガジン」の映画評で今野雄二先生が本作を虚実入り乱れるサイコサスペンスとして評価していたのを思い出した。(確か、窓越しにグレタ・スカッキを見つめるティム・ロビンスの映像に着目していた)そんな見方も充分ありだと思う。

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2008年1月 5日 (土)

「ロバート・アルトマンのヘ・ル・ス」(ロバート・アルトマン)

アルトマンの未公開作「ロバート・アルトマンのヘ・ル・ス」(1980)見る。例によって例のごとくのアルトマン・タッチで、健康団体の会長選挙のどたばたを描く群像劇。出演はキャロル・バーネット、グレンダ・ジャクソン、ジェームズ・ガーナー、ローレン・バコールら。アメリカの健康志向をおちょくった皮肉な内容なのだが、これは空回りって気がしたなあ。びっくりするくらいつまらない。ジェームズ・ガーナーら俳優たちがいまいちアルトマンの世界に合っていないのが原因かもしれない。会話の途中で変な姿勢で居眠りを始めるローレン・バコール(!)だけは妙におかしかったが。脇役では常連ヘンリー・ギブソンが怪しげな演技を披露。

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2008年1月 2日 (水)

「ナッシュビル」(ロバート・アルトマン)

ロバート・アルトマンは大好きな監督なのだが、恥ずかしながら代表作「ナッシュビル」を見ていないのが辛かった。何やらオトナの事情があるのか「ナッシュビル」は(国内では)未だソフト化されていない。何しろアルトマンと言えば「ナッシュビル」である。どの映画本にもアルトマンの代表作と言えば「ナッシュビル」な訳で、ハリウッド、オフ・ハリウッドをまたにかけ、60年代から現在に至るまで「M☆A☆S☆H」「ロング・グッドバイ」「ギャンブラー」「三人の女」「ゴスフォード・パーク」等、名作数多いアルトマンであるが、やはり「ナッシュビル」を見ないままにアルトマンを語るってのは抵抗があった。

アルトマンが亡くなった昨年後半、衛星放送で特集が組まれ、ラインナップには「ナッシュビル」も!これは嬉しかった。念願かなってようやく鑑賞と相成った。(後日知ったのであるが、昨年のぴあフィルムフェスティバルではアルトマン特集が組まれ、何と「ナッシュビル」他の代表作が劇場にかかったという。ああ、東京に住んでいたら毎日通ったのに、とこの時ばかりは心底悔やんだ)

という訳で「ナッシュビル」(1975)。昨日見た「ハリー・ポッター」、あれも映画ならこれも映画、果たして本当に同じジャンルに括っていいものかと思うくらいに肌触りが違う。予想以上のダラダラダラダラしたアルトマン・タッチ全開。しかし面白い。C&Wのメッカとして有名なナッシュビルで、それぞれの事情を抱えて右往左往する登場人物たち。巧みに使われるC&W。2時間半(159分)の長尺であったが、ダラダラした調子のまま最後まで見せ切ってしまうのには驚いた。

「ナッシュビル」はアルトマンの代名詞とも言うべき群像劇で、いくつものエピソードが同時進行で語られていくスタイル(マルチ・プロットと言うらしい)。主なキャストはヘンリー・ギブソン、リリー・トムリン、シェリー・デュヴァル、スコット・グレン、カレン・ブラック、ネッド・ビーティ、ジェフ・ゴールドブラム、クリスティナ・レインズ、ジェラルディン・チャップリン、キース・キャラダインら。主要キャストの他に、パーティの場面でエリオット・グールドらが本人として出演するなどドラマとドキュメンタリーの中間のような見せ方は後年の「ザ・プレイヤー」などと同じだ。 

クライマックスはナッシュビルで行なわれる大統領候補のキャンペーン大会。そこで複数のプロットが1点に集約するのかと思いきや、そこはアルトマン、そんな納まりのよい映画などになるはずもなく、混沌としたままで放り出す。その絶妙の脱力ぶりには唖然とさせられた。混沌とした結末からくっきりと浮かび上がってくるのはやはり「アメリカ」であった。アルトマン映画としては、90年代以降の作品には無い熱っぽさがある。そこがまた素晴らしく胸を打つ。やっぱり70年代の映画はいいなあ。

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