アクション

2009年12月 5日 (土)

「3時10分、決断のとき」(ジェームズ・マンゴールド)

 ジェームズ・マンゴールド監督「3時10分、決断のとき」見る。今時珍しい新作(2007年)西部劇だ。原作はエルモア・レナードの短編小説で、グレン・フォード主演の「決断の3時10分」(1957年)のリメイクにあたる。主演はクリスチャン・ベイルとラッセル・クロウ、脇にはピータ・フォンダの姿も見れる。

 戦争で負傷した不自由な足を引きずりながら牧場を営むダン(クリスチャン・ベイル)。借金を抱え、長男は反抗期、次男は結核で苦しみ、生活苦で八方ふさがりの状況であった。ダンは報酬を当てにして、強盗団のボス、ベン(ラッセル・クロウ)を、刑務所のあるユタ行き3時10分の列車に乗せるまで護送する仕事を引き受ける。ベンはあの手この手で逃亡を企て、さらにベンの手下たちが執拗に追撃を繰り返す。1人、1人と仲間が脱落する中、果たしてダンは無事に護送出来るのか・・・。

 ううむ、これはいいぞ! 映画としては、アクション演出においてはもうひと工夫欲しいなあとか、音楽がちょっと地味すぎて物足りないなあとか、脇役はもっと面白く描けたのではないか(特にピーター・フォンダ演じる賞金稼ぎ)とか、不満がないわけではないが、そんなのは取るに足らないことだ。「3時10分、決断のとき」は久々に見た正統派の西部劇であるばかりか、物凄く真っ当な活劇なんである。すなわち、登場人物のエモーションとアクションが見事に連動し、1発1発の銃弾にきちんとハラハラしたり爽快感を覚えたり出来るのだ。それが何より嬉しい。くるぶし諸君、これは必見ですぞ。

 本作でもうひとつ書き記しておきたいのは、「立場の違う男と男が対立する中でお互いを認め合う」という活劇の黄金パターンを見事に見せてくれることだ。悪党ベンと主人公ダンの行動や決断を見ていると、何でそうするの?と一瞬腑に落ちない事が度々見受けられるかもしれない。若い観客や、もしかしたら女子には特にそうだろうと思う。しかし、それは彼らが男だから、なのである。なんて書くと馬鹿みたいだが、本当にそうとしか言いようがないのである。男だから、こうせざるを得ないというギリギリの決断を見せる主人公ダンと、それを受ける悪党ベンがどんな行動に出るのか・・・。このクライマックスの展開にグっとこない男はいないだろうと思う。

 「マシニスト」などでお馴染みの憔悴しきった演技に説得力を見せるクリスチャン・ベイル(「太陽の帝国」の少年が立派に育ったものだ)。群盗のリーダーであり、かつ一匹狼的な悪党のカリスマを見事に表現するラッセル・クロウ。キャラクターの複雑なパーソナリティーに原作のエルモア・レナード節が垣間見えるのも楽しい。


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2009年11月21日 (土)

「イングロリアス・バスターズ」(クエンティン・タランティーノ)

 話題の新作「イングロリアス・バスターズ」見てきました。

 第二次世界大戦、ドイツ占領下のフランスが舞台。ナチスのユダヤ人狩りで家族を殺された少女ショシャナの復讐劇。そしてナチス殲滅の命を受け結成されたアメリカ軍特殊部隊「イングロリアス・バスターズ」のゲリラ戦。両者の闘いは、やがてドイツの国威高揚映画のプレミア上映会で交錯する・・・。

 オタク番長タランティーノらしく、例によって過去の映画への言及が全編に散りばめられている。今回は元ネタがマカロニ・コンバットもの「地獄のバスターズ」(監督エンツィオ・G・カステラッリ)だし、音楽や人名などイタリア映画ネタが多くて個人的にかなり反応してしまった。かと言って「イングロリアス・バスターズ」はマニア向けの箱庭に過ぎないのだろうか?それでは「キル・ビル」と同じではないのか?

 前作「デス・プルーフ」(「グラインドハウス」)は、Z級映画専門館の映画体験をそっくり再現しようという目論みであった。その結果、いい意味での「B級映画」のノリの良さを体現する見事な仕上がりを見せていた。そして次の一手である「イングロリアス・バスターズ」は、さらにその先に進もうとする大変な野心作であった。今まで通りオタク番長らしい過去の映画との戯れは全編に盛り込まれているが、今回は決してそれだけではない。映画は楽しい、映画は素晴らしい、それは解った。映画好きならそんなことは百も承知だ。じゃあ、映画には何が出来るのか?映画の可能性って一体何なのか?彼なりにその先まで踏み込もうとした、極めて野心的な作品なんである。ネタばらしになるので詳しいことはここには書かないが、終盤の展開には心底興奮した。

 「イングロリアス・バスターズ」は予告編で想像するような「痛快戦争映画」ではない。そもそも前線での戦闘場面などほとんど描かれていない。派手な戦争場面は劇中映画の中だけで行われる。件の「バスターズ」の面々はリーダーのブラット・ピット以外はどう見ても弱そうな地味フェイスばかりで、観客の感情移入を妨げるような残虐な行為を繰り返す。とても主人公側のヒーローたちには見えない。ブラピ主演の痛快活劇を期待して見に行った観客は思いっきりひいてしまったことだろう。特に女子は。そんな風に、娯楽映画と呼ぶには随分いびつな仕上がりだとは思う。会話場面が長くて画面が停滞してしまう悪癖も相変わらず。が、オレは断固支持するぞ!

 音楽について一言。今回は何とモリコーネ先生の既成曲がほぼ全編に渡って使われている。セルジオ・レオーネ作品を周到に避け、パロディ的に聞こえるのを避けているのが心憎い。一番いい場面で流れるのは、70年代イタリアン・アクションの佳作「非情の標的」(セルジオ・ソリーマ監督)から。まさかこんな場面で、という絶妙の使い方で泣きそうになった。まさかの「キャット・ピープル」(音楽ジョルジオ・モロダー、歌デヴィッド・ボウィー)にも驚かされた。やるなあ。

 さておき、元ネタの1本らしいロベール・アンリコの「追想」見たいなあ。求むDVD化。



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2009年4月12日 (日)

「北国の帝王」(ロバート・アルドリッチ)

 アルドリッチの「北国の帝王」EMPEROR  OF THE NORTH(1973年)がDVD化されたので久しぶりに見直してみた。ちなみにDVDは20世紀フォックスリクエスト・ライブラリーの1本として発売。この映画をもう一度見たかった人が多かったということか?リー・マーヴィン(小林清志)、ボーグナイン(富田耕生)の日本語吹き替え収録も嬉しい。

 1930年代、大不況真っ只中のアメリカ。列車に無賃乗車して各地を渡り歩く移動労働者(ホーボーと呼ばれる)たちがいた。一方、無賃乗車を許せない鉄道会社ではホーボーの存在に悩んでいたが、19号列車の車掌シャック(アーネスト・ボーグナイン)は暴力をも厭わない厳しさで徹底排除を行っていた。そんな中、「北国の帝王」と呼ばれる伝説的なホーボー、Aナンバーワン(リー・マーヴィン)が19号列車へと挑戦した・・・。

 要するにタダ乗りを企む男とそれを阻止しようとする男が列車上で対決する、ただそれだけの話なんである。改めて見直したら本当にそれだけのお話だったんで驚愕した。しかもこれ、コメディではない。血沸き肉踊る大真面目なアクション映画なんである。1930年代アメリカの社会情勢とか風俗描写とか、無骨な男のロマンスとか、若いホーボーとの師弟関係とか、いくらでも寄り道出来ようが、描かれるのはほぼ疾走する列車と男の対決、これだけである。画面には、疾走する列車、森林地帯の大自然、ホーボーや鉄道員たちの顔顔顔、そして男の対決・・・。この恐るべきシンプルなお話で121分ぐいぐい引っ張るアルドリッチの力技には敬服するしかない。

 劇中に、若いホーボー、シガレット(キース・キャラダイン)とAナンバーワンの師弟関係みたいな部分は確かにあるが、面白いのは何も発展しないことだ。シガレットは徹底して姑息な卑怯者として描かれ、Aナンバーワンは途中でタダ乗りのテクニックを伝授するのを止めてしまうのだ。この辺は「スペース・カウボーイ」の頃のイーストウッドみたいなもんで、「若い腰抜けには何も教えることなどない」という頑固さで逆に小気味よいくらいだ。アルドリッチが描くのはひたすらにAナンバーワンと車掌シャック、この2人の男なんである。主人公はAナンバーワンだが、アルドリッチは車掌シャックを単なる敵役としては描いていない。徹底して職務に忠実な、頑固一徹の男として賛美しているのだ。この辺もいいなあ。演じるリー・マーヴィン、アーネスト・ボーグナインの顔つき、体型、太々しい存在感!2人ともこの役を演じるために存在しているというくらいのハマリ役である。最初は頭脳戦で駆け引きを行っていた2人が、ついに直接対決を迎えるクライマックス。疾走する列車の上で、文字通りの肉弾戦だ。武器は角材、ハンマー、チェーン、そして斧!

 対決を終えて、Aナンバーワンが雄叫びをあげ、列車がぐんぐん遠ざかっていく。このラストシーンもいいなあ。Aナンバーワンのお説教がまた何ともかっこ良いのだ。

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2009年3月28日 (土)

「エグザイル/絆」(ジョニー・トー)

 アクション映画好きの友人・キャラハン警部が「昨年のベストワン」と断言したジョニー・トー監督「エグザイル/絆」EXILED 放・逐(2006年)。ようやく仙台でも公開されたので初日に駆けつけた。

 組織のボス(サイモン・ヤム)を狙って失敗し、逃亡者となったウー(ニック・チョン)が妻子を連れて戻ってきた。ボスの命令でウーを始末するために集まった4人の男、ブレイズ(アンソニー・ウォン)、タイ(フランシス・ン)、キャット(ロイ・チョン)、ファット(ラム・シュー)。裏社会で生きる5人は固い絆で結ばれた旧友であり、死ぬ前に妻子に金を残したいというウーの願いに、男たちは一仕事やろうと動き出すのだが・・・。

 「PTU」「ブレイキング・ニュース」「エレクション」等々、今や香港ノワールを牽引する鬼才ジョニー・トー。今回は「ザ・ミッション 非情の掟」(1999年)の主要キャストを再結成しての姉妹編で、これは大・大・大傑作だ!!!ヤクザ者の義理と人情話だろ、今さらなんでそんなベタな話を、などと言うことなかれ。例えお約束のお話でも、魅力的なキャスト、無駄な説明を排除した語り口、考え抜かれたアクション、要するにここまで徹底すれば、崇高な感動すら呼ぶことが出来るのだ。ジョニー・トーのケレン味たっぷりのスタイリッシュな演出が要所でバシバシ決まりまくり、内側にはトー版「ワイルドバンチ」とでも言うべき熱い血潮が燃え滾る、香港ノワールの到達点と言っても過言ではないだろう。

 「ザ・ミッション」でも見せた男たちのチームプレー、車から降りて周囲に立ったり、ドアから順番に出てきてさりげなく配置に付いたりする身のこなしが印象に残る。また、見せ場である銃撃戦は、レストラン、ヤミ医者の診療所、ホテルのロビー等、ほとんどが狭い場所で行われ独特の面白さを生み出す。ヤミ医者の診療所のある雑居ビル外で行われる縦構図での銃撃戦も面白い。そして、ある小道具がきっかけとなって始まるクライマックスの銃撃戦!正直言って、診療所の場面でカーテンがはためく中で銃撃戦が始まった瞬間、クライマックスで○○をキックした瞬間には感動のあまりちょっと泣いた。

 ハードな側面だけでなく、随所にユーモラスな演出が施されているのが面白い。特に敵役のサイモン・ヤムが大活躍。彼が現れる場面は大抵シリアスな場面に笑いの要素が仕込んであり、意表をついた見せ方にはトー演出の洗練が見られる。 

 アンソニー・ウォン、フランシス・ンら存在感たっぷりの俳優たちを見ているだけでもあっという間の109分。いやあ素晴らしかった。

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2009年3月12日 (木)

「ダークナイト」(クリストファー・ノーラン)

 映画秘宝ベスト1選出の他、2008年度ベスト作品の呼び声も高い「ダークナイト」THE DARK KNIGHTをようやくチェック。監督クリストファー・ノーラン、主演クリスチャン・ベイルのイギリス人コンビによる、「バットマン・ビギンズ」に続く新シリーズ第2弾。

 ゴッサムシティの治安維持に心血を注ぐバットマン(クリスチャン・ベイル)とゴードン警部(ゲイリー・オールドマン)。そこに白塗りの怪人ジョーカー(ヒース・レジャー)が現れ、次々と凶悪犯罪を犯す。新しくゴッサムシティに赴任した検事ハービー・デント(アーロン・エッカート)は正義感に燃え、警察、バットマンと協力し犯罪の一掃を推し進める。一方ジョーカーはバットマン、デント検事、警察、一般市民、暗黒街の面々すら敵に回して恐ろしい策略を巡らしていた・・・。

 クリストファー・ノーランはアメコミヒーローもの「バットマン」を彼なりにリアルな犯罪映画として再構築したかったようだ。前作「バットマン・ビギンズ」も暗い画調と大真面目な演出タッチからその意気込みはうかがい知れた。しかし「ビギンズ」はどこか演出がチグハグというか、大真面目な割に忍者軍団が登場したりするユルさには苦笑させられた。アクション演出が下手なのもイタかった。で、今回はどうだったか。

 上映時間152分、前作のテーマをさらに推し進めた大変な力作であった。所詮マスクヒーローものに何ムキになってんの、と言いたくなることろも無きにしもあらずだがそれはさておき。前作では沢山登場人物が出てくる割にはあんまり描かれてなくて、面白味が感じられなかった。それが今回は、主人公は勿論、脇役に至るまで皆正邪の葛藤を強いられるような展開になっているのが面白い。それぞれのキャラクター性とストーリー展開が上手く溶け込んでおり、葛藤が映画を停滞させることがないのが良かった。クリストファー・ノーランはティム・バートンとはまた違ったやり方で、原作の持つ暗い魅力をスクリーンに甦らせることに成功したようだ。

 それもまあひとえにジョーカーの存在感あってのこと。ティム・バートン版でジャック・ニコルソンが演じたコミカルで毒々しいジョーカーとは一味違って、故ヒース・レジャーがパンキッシュに演じたジョーカーはリアルで存在感抜群。神鬼出没で破壊を繰り返すジョーカーの活躍が映画のドライヴ感の原動力となっている。山と積まれた札束に平然と火を放つ場面はヒース・レジャー一世一代の名演技。

 個人的には、今まで汚職刑事系俳優の筆頭だったゲイリー・オールドマンが街一番の潔白な警官として活躍するのが何だか嬉しかったなあ。紅一点がマギー・ギレンホール(ドニー・ダーコの姉貴)ってのはどうかと思うが・・・。

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2009年1月25日 (日)

「シューテム・アップ」(マイケル・ディヴィス)

最近のアクション映画でも、と思い「シューテム・アップ」2007年)見る。全編銃撃戦に次ぐ銃撃戦の連続で、スタイリッシュなアクション演出は目に楽しい。撃つ・撃たれる、という単純なカットの切り替えを避け、殴る・撃つ・走る・滑る・一回転してまた撃つ、とか連続してアクションを見せていく手法は、ジョン・ウーを大いに勉強した様子が伺えて微笑ましい。が、見ていて少しもガツンとこないのはやっぱりスタイルだけに終わってるからだろう。香港時代のジョン・ウーは、登場人物の爆発しそうに昂ぶる感情を派手なアクションで表現していたと思う。ところが「シューテム・アップ」はまずガンアクションありきで、登場人物たちの感情などほとんど関係ない。いくら凝りに凝ったアクション演出を見せても、映画的な盛り上がりに乏しいのは当然だろう。だから、「シューテム・アップ」はアクション映画というよりも、ゲーセンのシューティングゲームみたいな感じ。そう割り切って見れば、パラシュートで降下しながら撃ち合いする場面とか楽しめるのかもしれないが、個人的にはアホらしくてちょっとついていけないなあ。

主人公は黒のロングコートに身を包んだ凄腕のガンマンで、演じるのはクライヴ・オーエン。いつもニンジンを咥えてる(という所だけが)特徴。「謎の男」ってのもいいけど、主人公なんだからもう少し何かあってもいいんではいかなあ。悪役はポール・ジアマッティ。主人公を助ける娼婦役はモニカ・ベルッチ。唖然とするくらいステレオタイプなキャスティングでお気の毒。

ヒロインが娼婦、主人公が指をへし折られる拷問を受ける、なんて所から思い出したのは、バート・レイノルズ監督・主演の「シャーキーズ・マシーン」(1981年)。「シューテム・アップ」なんかに比べると、随分情感たっぷりのいい映画だったように思えてきた。 

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2008年12月31日 (水)

「ホット・ファズ 俺たちスーパーポリスメン!」(エドガー・ライト)

これだけは何とか年内に見ておきたかった「ホット・ファズ 俺たちスーパーポリスメン!」。当初日本公開未定だったのだが、心ある映画ファンの署名運動により劇場公開にこぎつけたといういわくつきの1本。監督エドガー・ライトと主演サイモン・ペッグは「ショーン・オブ・ザ・デッド」の名コンビ。「ショーン・オブ・ザ・デッド」はジョージ・A・ロメロのゾンビ映画への真摯なオマージュで泣かせてくれた。

ロンドンで活躍する優秀な警察官ニコラス・エンジェル(サイモン・ペッグ)は同僚たちの反感を買い、のどかな田舎町に左遷されてしまう。事件など何も起こらない平和で閉鎖的な田舎町でパワーを持て余すニコラス。そんな中、不審な死亡事故が相次いで発生、単独で捜査を進めるニコラスだったが・・・。

さすがはゾンビ映画のパロディで注目されたコンビだけに容赦ないスプラッター描写が連発される。というか血塗れギャグはさすがモンティパイソンのお国柄と言うべきか。その辺好き嫌いは分かれるであろうが、これは映画マニアなら感涙必至の痛快アクションコメディだ。面白かったー。凝った編集テクニックは往年の岡本喜八ばりの快テンポ。意外な展開を見せるお話も面白いし、アクションも気合入っててサイコー。特にクライマックスの銃撃戦のヒネった面白さは類を見ない。イギリス映画なんで、前作「ショーン・オブ・ザ・デッド」同様にパブで酒飲む場面がいい味を出しているのも好きだ。バックではXTC、キンクス等ブリティッシュロックがガンガン流れるのも楽しい。等など、いくらでも喋りたくなるのだ。ああ、これは部屋で1人で見るんじゃなくて、友人たちと皆でワイワイ言いながら見たかったなあ。

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2008年12月11日 (木)

「レッドクリフ Part I」(ジョン・ウー)

 札幌出張。仕事を終えて、夜にぽっかりと時間が空いたので、札幌駅の駅ビルにあるシネコン、札幌シネマフロンティアにてやっとこさ「レッドクリフ Part I見る。いきなり三国志ってのには面食らうが、何しろジョン・ウー校長だ。上映時間145分、思いっきり直球勝負の合戦絵巻で、ウー校長の仰々しい演出は内容に上手くハマってたと思う。多彩なアクションの数々(アクション監督はコーリー・ユン)には惚れ惚れ。イイ顔続出の俳優たちを見てるだけでも楽しかった。しばし嫌な仕事の憂さを晴らすことが出来た。

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2008年10月 5日 (日)

「狙撃者」(マイク・ホッジス)

 で、今日は「ゲット・カーター」映画版「狙撃者」1971)見直してみた。ストーリー展開はテッド・ルイスの原作にほぼ忠実。OPのクレジットでは「Jack's Return Home」のタイトルになっていたな。どんより曇った天気、見事なロケーション(古ぼけた町並み、雨降りの競馬場、立体駐車場、船着き場など)、いかにもイギリスらしい俳優たちの顔つきなどとても面白い。原作よりエロ味が増しているのも面白かった。そして、何と言ってもロイ・バッドのテーマ曲が最高にクール。OPであの曲が流れ出した時にはゾクゾクした。

 主人公ジャック・カーター演じるのはマイケル・ケイン。復讐のためなら手段を選ばない冷徹な主人公にピッタリとハマっている。あの冷たい目は一度見たら忘れられないであろう。原作では主人公の回想で兄弟の思い出が語られ、愛憎半ばする兄への思いと復讐へと主人公を駆り立てる要因が丁寧に描かれていた。ところが映画版ではそこをバッサリとカット。その為、ハードボイルド感覚はさらにアップしている。主人公の行動にはどことなく「ポイント・ブランク」のリー・マーヴィンを思わせるような常軌を逸した感覚もあって面白い。

 クライマックス、主人公カーターはライフルを手にして復讐へと向かう。が、とどめに銃は使わないのだ。では、邦題にある「狙撃者」とは? そこに原作を微妙にアレンジした映画オリジナルのひねりがあってまた良かった。曇天と暗い海、寂寥感漂うラストは今の自分の気分にあまりにもシンクロしてきて泣けた。

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2008年9月20日 (土)

「隠し砦の三悪人」(黒澤明)

 衛星放送にて黒澤特集をやっている。今夜は「隠し砦の三悪人」(1958)。久々に(20年ぶりくらいか?)見直してみた。139分、緩急見事なリズム、隅々まで充実しきった映画的空間を堪能。やっぱり面白いや。黒澤映画の中ではこれが1番好きかもだ。

 改めて見直すと、この映画をスリリングにしているのはあの手この手の危機突破アイデアでも疾走する馬上のアクションでもなく、雪姫(上原美佐)の存在感であると感じた。何とも言えない力みまくった発声、「忠義顔が嫌い」だなんて台詞、良いですねえ。

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