「三重スパイ」(エリック・ロメール)
せんだいメディアテーク「フランス映画の秘宝」にてもう1本、ロメールの近作「三重スパイ」(2003年)見る。フランス、ギリシャ、イタリア、ロシア、スペインス合作で、第二次世界大戦中の実話が元になっているという。フランスに亡命したロシアの将校と、画家であるギリシャ人の妻。夫はスパイとして頻繁に海外出張するが、任務の詳細を知らされていない妻は夫に対する疑惑を深めていく・・・。映画祭のチラシに曰く「スパイ、裏切り、騙し、隠蔽に満ちあふれた痛快サスペンス劇」。ロメール爺さんが「痛快サスペンス劇」を撮ったのか、と興味をそそられたが・・・。
スペイン内戦から第二次大戦に至る不安で緊迫した時代の状況と、ある夫婦の危機を重ね合わせて描こうという作品。お話のスケールはロメールらしからぬ規模とは思うが、基本的にはいつもの会話劇のスタイルで、スパイものだからってアクションの見せ場がある訳でもない。ヒロインである妻は共謀の疑いを掛けられ獄死、夫もどうやら謀殺されたらしい、という事が伝えられておしまい。確かに「裏切り、騙し、隠蔽に満ちあふれ」てはいたが、どこが「痛快サスペンス劇」なんだっつうの。それはともかく、映画はロメールらしからぬ堅さというかストレートな怒り(義憤か)みたいなものが感じられる。実話だというこの事件に、老ロメールは何か思うところが大きいのであろう。
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