恋愛映画

2008年11月12日 (水)

「恋人までの距離(ディスタンス)」(リチャード・リンクレイター)

TVでリチャード・リンクレイター監督「恋人までの距離(ディスタンス)」原題Before Sunrise 1995年)見る。列車の中で出会ったアメリカ人青年(イーサン・ホーク)とフランス人女性(ジュリー・デルピー)。意気投合した2人はウィーンで下車し、一晩だけ一緒に過ごすことにするのだが・・・。

名作との評判は聞いていたものの、こんなによく出来た映画だったとは。驚いたなあ。夕方から夜明けまで、様々な表情を見せるウィーンの街並みと、次第に接近していく男女の感情が鮮やかに描かれた佳作。イーサン・ホークとジュリー・デルピーが全編喋りっぱなしというのも面白かった。

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2008年10月25日 (土)

「あの胸にもういちど」(ジャック・カーディフ)

その筋では有名な作品ながら今まで未見だった「あの胸にもういちど」(1968)見る。裸に黒革のライダースーツを着てハーレーを乗り回すマリアンヌ・フェイスフルは、「ルパン三世」の峰不二子の元ネタともいわれている。

レベッカ(マリアンヌ・フェイスフル)は夫がありながら、愛人ダニエル(アラン・ドロン)との関係を断ち切れずにいた。ある朝、彼女は夫の寝ている間に起き出すとライダースーツに身を包み、オートバイを駆って愛人の元へと向かうのだが・・・。

甘ったるい邦題からてっきり恋愛映画かと思っていたら、どうも様子が違う。三角関係の話が展開するのかと思いきや、原題(「THE GIRL ON A MOTORCYCLE」)そのままに、映画はひたすらバイクを飛ばすヒロインの姿を映し出す。その合間に回想やイメージショットが挿入されるという手法。

監督はジャック・カーディフ。カーディフは「赤い靴」(1948)、「黒水仙」(1946) などの撮影で知られる名カメラマンで、フライシャーの諸作や、「ランボー/怒りの脱出」なんてのまで、息の長い活躍を続けている。 2000年にはアカデミー名誉賞を受賞するなど立派な人なのだ。ところがカーディフの監督作品といえば、すぐに思い浮かぶのはドナルド・プレザンス主演の陰気なB級ホラー「悪魔の植物人間」(1973)! そのせいと言う訳でもあるまいが、「あの胸にもういちど」などという甘美な邦題とは明らかに異質な手触りの映画で、まるでホラー映画のようだった。映画はヒロインが夢から醒める場面から始まる。明け方の屋敷の上空を鴉が飛び交う映像の不吉な感覚。愛人との逢瀬を想像しながら薄ら笑いを浮かべてバイクを飛ばすヒロインはどう見てもアブない人。挿入される回想シーンやイメージシーンの映像処理もまるでアシッドムービーのようだ。愛人アラン・ドロンはまるで内面の見えない人物として描かれており、ヒロインを堕落させる悪魔のよう。ラストシーンの描き方などまるで恋愛映画とは程遠く、度肝を抜かれること必至。いやあヘンな映画だったなあ。

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2008年9月28日 (日)

「ランジェ公爵夫人」(ジャック・リヴェット)

仙台のミニシアター、チネ・ラヴィータにてジャック・リヴェットの新作「ランジェ公爵夫人」(2007)見る。バルザック原作による文芸大作で、上映時間は(リヴェットにしては短い)137分。ヌーヴェルヴァーグの伝説的な監督であるリヴェットの新作を劇場で見る機会は逃すまいと駆けつけたのであるが、観客は自分ら入れてたったの5人であった・・・。

舞台は19世紀初頭のパリの社交界。ランジェ公爵夫人(ジャンヌ・バリバール)は舞踏会で出会ったナポレオン軍のモンリヴォー将軍(ギョーム・ドパルデュー)に興味を抱いて自宅に招く。モンリヴォーはランジェ公爵夫人に惚れ込み毎日足しげく屋敷に通うが、夫人はつれない素振りで彼を翻弄する。ついに堪忍袋の緒が切れたモンリヴォーは夫人を誘拐するが・・・。

言ってみれば一種の恋愛ゲームみたいなお話で、時代が時代だけに今では考えられないようなじれったい関係が延々と続く。出演は「恋ごころ」に続いてリヴェット作品のヒロインを演じるジャンヌ・バリバール、名優ジェラール・ドパルデューの息子のギョーム・ドパルデュー、ビュル・オジエ、ミシェル・ピコリら。ウィリアム・リュプチャンスキーのクリアーな撮影が素晴らしく、音楽が必要以上に流れないのも良い。80歳を超えてなお衰えないリヴェットの端正な演出力には驚かされる。

一番面白かったのはモンリヴォーのとその部下の描き方。恐らく戦友なのだろうが、モンリヴォーが依頼すると上流階級の夫人を誘拐したり、修道院に忍び込んだりと暗躍する。そんな頼もしい(?)仲間を持っていながら、好いた夫人には翻弄され、舞踏会ではむっつりと黙り込んでいるだけの無骨なモンリヴォーがおかしい。

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2008年9月21日 (日)

「天使の入江」(ジャック・ドゥミ)

せんだいメディアテークにて「フランス映画の秘宝」という特集上映が行われている。ジェック・ベッケル、ロベール・ブレッソン、サッシャ・ギトリら、貴重な作品が5本上映される。入場料¥1,000、しかもきちんとスクリーンで見られるのだから嬉しい。昨日は蓮実重彦先生がゲストで講演などあったようだが、出勤日だったので残念ながら諦めた。

今朝は早起きして、妻と11時からの初回に駆けつけた。本日上映された1本目は、「シェルブールの雨傘」などで知られるジャック・ドゥミの監督第2「天使の入江」(1963)

銀行で働く堅物の青年ジャン(クロード・マン)は、同僚の手ほどきでギャンブル(ルーレット)にハマる。休暇を取って出掛けたニースのカジノで、ジャッキー(ジャンヌ・モロー)という女性と出会い、互いに惹かれあうが、彼女は大のギャンブル狂であった・・・。

リゾート地のロケーション、流麗なカメラ(撮影はジャン・ラビエ)、美しい音楽(ミシェル・ルグラン)のおかげでお洒落なコメディーのようにも見えるが、実際はギャンブルにハマった男女が危うく身を持ち崩しそうになるというしょうもないお話であった。珍しいブロンドヘアでギャンブル狂の中年女に扮したジャンヌ・モローが凄い。ちょっとでも金が出来るとすぐにギャンブルでスッてしまうその日暮らしの女を演じて、腐る寸前の果実を思わせる不健全な魅力を発している。勝負に挑む登場人物たちの心のトキメキを反映するように、カジノでルーレットが回ると途端にミシェル・ルグランの美メロディが高鳴るのが妙におかしかった。

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